(初出:不明 執筆日:2005年05月02日)

 今日は朝から雨が降っていた。

 昼になるとあがったので外に出てみると、空は眩しいほどの快晴で、濃い虹が出ていた。
 虹の端はどこにあるのだろうと目をこらしてみても、見つけることはできなかった。
 せめて虹の足元にでも行ってみたいと思い、延々と歩いてみることにした。

 一時間ほど歩くと虹の端らしきものが地面に刺さっていた。
 コンクリートの道路から、いきなり虹が発生しているのである。
 虹は巨大だった。
 せっかくだから、よじ登ってみることにする。
 一時間ほど登ると、てっぺんについたようだった。
 下を覗き込んでみると、遥か遠くに日常の世界が広がっていた。
 足元にある虹をさわってみると、意外に硬かった。
 まるでコンクリートのようである。
 七色の色を橋のように広げて、どっしりと構えていた。
 貫録のある虹だ。

 飽きたので下へと降りると、虹が薄くなっていった。
 しばらく眺めていると、とうとう消えてなくなった。
 さっきまで虹があった場所をさわってみようと思ったが、もうなんの感触もなかった。
 あれほどの存在感を与えていたはずの虹は、いともあっさりと消え去ったのだ。
 仕方がないので家へ帰ることにした。
 夜になると再び雨が降りだした。
 明日の朝も虹は出てくるだろうか。

END
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