淫らな伯爵と灼熱の蜜夜 1

(執筆日:2016年06月09日)

 身体の奥が灼熱のようだ。リアナは朦朧として働かない頭で思った。
 荒くなる息を噛み締め、溢れそうになる声を押し殺し、目の端からは涙が伝う。
 腰だけを高く上げたうつぶせの白い裸体。目の前のシーツを強く握り締めた。
「……ふっ、……くっ」
 突き上げられるたびに呻くような声が出た。腰をつかむ、がっしりとした男の手。デュレンの腰がリアナの丸い尻を叩きつけるたびに、彼女の全身が呆気なく揺れた。
 ぬるつく蜜壷が男の屹立を喰い締め、大きく膨らんだ先端で襞をかき混ぜられるたびに、全身も頭も痺れたようになる。何かを考えようとするとたちまち思考が霧散してしまい、身体の奥から押し寄せる快感の波に身を任せてしまう。
 紅潮した頬を冷たいシーツに押しつけ、涙で濡らしながらリアナは喘いだ。
「……もう、もう……許して……」
「何を言ってる。おまえのここは離すまいと締め上げてくるぞ」
 デュレンはどこか楽しそうな様子を見せ、リアナの白い尻を手の平で軽く叩いた。その振動でまた全身が痺れそうになる。
 こんな浅ましい身体ではなかったはずだ。リアナはなんとか思考を巡らせ、かつての自分を思い出そうと試みた。そもそも自分はリアナだったのか。高坂亜姫ではなかったのか。それすらも曖昧になる。自分は誰だろう。ふたつの記憶が混ざり、たちまちよくわからなくなる。
「リアナ」
 デュレンから呼ばれ、ああリアナだったのかと思い出した。
 後ろから腕を持たれ、上半身が浮く。豊満な胸が盛大に揺れた。両肩をつかまれ、背中が弓なりに反る。その体勢のまま背後から腰を叩きつけられた。熱い蜜を溢れさせる隘路が硬い大きなものに塞がれ、執拗なほど何度も抜き差しされる。がくがくと全身が揺れ、リアナはまた何も考えられなくなった。
「ひっあっ、んあああああ……っ」
 ビクンッと全身が弾んだ。研ぎ澄まされた快感が脳天まで響き、力が入らなくなる。崩れ落ちそうになる身体を引っ張り上げられ、座るデュレンの腰の上へと乗せられた。今度は下から突き上げられる。否応なく弾む身体を、リアナはどうすることもできなかった。
 豊満な胸をデュレンの手がつかむ。容赦なく揉みしだかれた。首筋に息がかかり、唇が吸い上げてくる。
「おまえは俺だけのものだ。全身に刻みつけてやる」
 それは甘い痺れをともなって、リアナを侵食してきた。永遠に逃れられない何かを感じて、リアナは震え上がる。それは歓喜なのか、恐怖なのか、リアナにもよくわからなかった。

つづく