(初出:note 執筆日:2015年11月16日)
部屋の片隅に忘れられた上着。
そうか今日暑かったからね。
忘れてったこといつ思い出すだろう。
こっちから連絡したほうがいいのかな。
上着を拾いハンガーにかけた。部屋の片隅に吊るす。
もしこのまま取りに来なかったらどうしようか。
一日経ち、一週間経ち、一年経ち、十年経ち。
永久に取りに戻らなかったらどうしようか。
スマホ取り上げLINEにメッセージ。
数分後、既読スルー。
捨てちゃおうかな。頭をよぎった。
ごめんごめん、うっかりしちゃって。笑いながら謝る姿を妄想する。
結局その日は取りに来なかった。
他に彼女いるんでしょ。知ってるんだからね。
部屋にあげたことを死ぬほど後悔した。
でもどうしてだろう。それでも嫌いになれないんだ。
嫌いになりたかったのに。
END
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