(執筆日:2016年07月04日)
体勢を変えられた。リアナはベッドの上で横向きにされ、背後からデュレンに抱き締められる。後ろから貫かれ、リアナは思わずのけぞった。
「はああっ……」
後ろから回ってきたデュレンの手が、リアナの胸をつかんだ。もみくちゃにされる。胸の突起を指でつままれ、指先で刺激されると、電流が走ったような衝撃が全身を包んだ。
そしてデュレンを柔肉でさらに締めつけると、彼の唇から切ない吐息が漏れた。
首筋や肩に口づけられ、体内をぐちゃぐちゃにかき回される。濡れた音が室内に響き渡り、世界にたった二人しかいないような錯覚をする。
人類の祖、アダムとイブはずっとこんな風に乱れ戯れていたのだろうか。いつしか行為に没頭していたリアナは、ハッと我に返った。
「あっ、待って……待って……っ」
体内で加速するデュレンを必死で止めようとした。しかし彼は構うことなくリアナの腰をつかみ、さらに密着してくる。最奥まで叩きつけられ、リアナはがくりと崩れ落ちた。
もう何度達してしまっただろう。それでもデュレンは解放してくれそうにない。いつ終わるのだろう。終わりなんて来ないのかもしれない。そう思いかけた頃にデュレンがせわしなく突き上げてきた。
「……お願い、待って……っ」
必死の懇願は聞き入れてはもらえなかった。デュレンは放った白濁をリアナの奥へと思い切り注ぎ込んでくる。リアナはのけぞった。
「……っああああああ……っ」
リアナはぐったりとベッドに倒れ込んだ。
デュレンもはあはあと苦しそうに呼吸している。すべてを注ごうとするかのように、数回リアナの体内を突き上げ、そしてゆっくりと引き抜いた。
リアナは恨みがましい眼差しでデュレンを見上げた。
「……どうして、中に出したの」
「妻の体内に出して何が悪い」
デュレンに悪びれた様子はなかった。
「まだ妻じゃありません」
「何を言ってるんだ。妻にするために連れ帰ったというのに。おまえは俺のものだ、永久に。路頭に迷って死にたいなら好きにすればいい。ここにいる限り俺はおまえを守るが、出て行くなら守る理由もないからな」
デュレンが身を屈めて、リアナの唇にキスをした。もう今日だけで何度目のキスだろう。デュレンのことはまだ少しも愛してはいないが、嫌だとは思わなかった。媚薬を盛られ、卑怯な手段で手籠めにされたが、絶望感のようなものはなかった。
だから、つけいられてしまったのだろう。自分の責任でもあるとリアナは思った。命の恩人だからと信用しすぎていた。きっと隙だらけだったのだ。
この先、どうするのが正しいのか、リアナにはわからなかった。このままデュレンの元にいたほうが安全なのか、それとも出て行くべきなのか。
わからなかったので、今はまだこの唇を受け入れるほうを選んだ。