淫らな伯爵と灼熱の蜜夜 17

(執筆日:2016年07月01日)

「だとしても、こんなやり方、許されない……っ」
 わめくリアナの胸に、デュレンの手が重なった。
「ひゃああっ」
 揉まないで。リアナは目線で必死に訴える。
「男に触られるのは初めてか」
「当たり前じゃないっ」
 恥ずかしながら二十七歳の亜姫の頃もまだ生娘だったのだ。高校生の頃につきあっていた同級生と手を繋いだりキスするところまでは進んだが、それ以上になる前に部活に専念したいからと告げられふられてしまった。以来、好きになった相手に振り向かれることのないまま、気づけば二十七歳になってしまったのだ。
「生娘か」
 デュレンの目の色が変わった気がした。
「俺がおまえの初めての男になるんだな」
「勝手に決めつけないでっ」
「所詮、この屋敷から出たところでおまえの行く場などどこにもない。身寄りのない女が一人で歩いていれば、野垂れ死ぬか襲われるかのどれかしかない。ここにいろ。それが一番安全だ」
「ここにいたら、あなたに襲われるじゃないっ」
「妻になれと言ってるんだ」
「嫌よっ。出会ったばかりで妻になれと言われてなるものじゃないでしょ。物事には手順があるのよっ」
「手順など知ったことか」
 ぐいっと胸を揉まれ、リアナは息を呑んだ。
「……わ、私だけじゃないんでしょ……?」
「何が?」
 デュレンが眉をひそめた。
「さっきの使用人の子たちにも、こんな風にしてるんでしょ。いいように手籠めにしてるんでしょ?」
「心外なことを言うな。使用人には何もしていない」
「嘘よ」
「嘘ではない」
「じゃあ、私が現れるまで、どうしてたのよ。いきなり、こんな風に襲いかかるような人が」
「使用人たちは貴族の血を引いていない。手を出すわけがないだろう。妻になる女以外は触れない」
「じゃあ、私が初めてなの?」
 問いかけると、デュレンが無言になった。
「……ほらあっ」
「ごちゃごちゃと、うるさい口だな」
 デュレンは面倒そうに舌打ちをすると、リアナの顎をつかんだ。
 いきなり唇を塞がれる。リアナは驚いて目を見張った。

つづく