花嫁は魔王の甘い蜜に酔わされる 13

(執筆日:2014年10月15日)

「はぁ、あぅ……っ、んっ」
 ファルザスの腕の中で、リリアがビクビクと震えた。まだ誰にも進入を許したことのない場所に、ファルザスの骨ばった長い指が入ってくる。蜜口に触れ、グッと押し込み、愛液を絡め取りながら奥へと進む。
 リリアはあまりの事態に硬直していた。抵抗すら忘れたような彼女を、背後から片腕で抱きしめながら、ファルザスは指を根本まで埋めていく。ふいに引き抜いたかと思うと、また押し込み、一定のリズムで抜き差ししはじめた。
「あぁっ、やっ、やぁっ……だめっ、やめて……っ」
 リリアは嫌がるようにゆるゆると首を振ったが、ファルザスは彼女の首筋に口づけながら、遠慮なく指を動かし続けた。力強い指が柔らかな部分を引き裂くように刺激する。リリアは熱くなる腰に当惑し、彼の指に呼応するように溢れ出た愛液に困惑した。自分の身体がこのような反応をするとは、とても信じられなかった。だが、これは夢でも空想でもない、まぎれもない現実。
「感じているのか?」
 耳元でファルザスがほくそ笑む。リリアの様子を面白がっている気配がうかがえた。
「呼吸が荒いぞ」
「……っ、ファルザス……っ」
 リリアはここにきて正気を取り戻そうと試みた。何もかも彼の思う通りにされるのが癪に障ったのだ。しかし、感じまいとすればするほど感覚は鋭敏になり、蜜口を暴く指の存在感がますます大きくなる。まるで別の生き物のように内部が収縮し、ファルザスの指に絡みついて離すまいとする。
「あぁっ……」
 リリアは気が遠くなった。豊満な胸はファルザスのもう一方の手に揉みしだかれていて、理性を保つには条件が悪すぎる。
「身体が先なんて嫌だと言っていた口はこれか?」
 胸から手を離したファルザスがリリアのあごを捉え、強引に振り向かせた。噛みつくような口づけにリリアはされるがままで、ついまぶたを閉じてしまう。ファルザスの舌に舌を絡め取られ、唇の端を唾液が伝い落ちる。
 リリアは自分が汚れたことを悟った。この感覚を知らない自分にはもう戻れないことを悟った。
 潤む瞳に涙の粒が浮かび、頬にこぼれ落ちる。気づいたファルザスの指先が、そっとぬぐった。
 長い口づけから解放され、リリアは深い息をつく。酸欠になりかけていた身体に空気を取り込んだ。
 口づけている間は緩やかだったファルザスの指が、再び力強くなった。リリアは声をあげてのけぞり、ファルザスの胸に全身を預けた。
「あっ、あぁっ……はぁっ、あぁっ……」
 止まらない喘ぎ声は自分ではどうすることもできず、ファルザスが指を動かすたびに、粘液のような濡れた音が室内に響く。恥ずかしさのあまりリリアは頭がおかしくなりそうだったが、ファルザスはこんな彼女に満足している様子だった。

つづく